著者没後に発見の訂正・補充が書き込まれた訂正原本を基にした改訂新版

決定版 紅葉山文庫と書物奉行

森潤三郎 著/長年にわたり数多くの資料や墓碑を渉猟し、江戸時代唯一の官設図書館である紅葉
山文庫の沿革と書物奉行の事蹟を日本で初めて本格的にまとめた本。著者の訂正・補充を反映さ
せ、昭和8年初版刊行(昭和書房)以来84年ぶりの改訂新版。

 


A5判上製カバー装・216頁/定価(本体4,800円+税)
ISBN978‒4‒903251‒13‒4

 
本書「再刊あとがき」より(森 富)
『紅葉山文庫と書物奉行』は昭和8年7月に第1版が刊行されたが、その時の発行部数は500に過ぎなかった。著者森潤三郎は昭和19年4月に没したが、生前、この本の改訂を望んでいたらしい。昭和38年、未亡人静が没したとき、遺品のなかに潤三郎の筆蹟で多くの訂正、補充が書き込まれた「訂正用」と表示された1冊を見出した。このたび鷗出版が、潤三郎の遺したこの訂正用を、『決定版紅葉山文庫と書物奉行』として刊行することを企画された。このことは私にとって大叔父である潤三郎の、おそらく最大の願いが実現する。
森 潤三郎(もり じゅんざぶろう)
1879(明治12)年向島小梅村で生まれる。兄に森林太郎(鴎外)・篤次郎、姉に小金井喜美子がいる。1905(明治38)年早稲田大学を卒業後、東京帝国大学資料編纂掛に就職。その後、京都府立図書館、東京帝国大学伝染病研究所等に勤務。歴史考証学の研究や兄鴎外の評伝等で知られている。1944(昭和19)年逝去。

森潤三郎


森  富(もり とむ)
1921(大正10)年生まれ。森鴎外の長男於菟の次男で、「富」の名は鴎外の命名。1944年東北帝国大学医学部(解剖学専攻)卒業。その後、陸軍軍医として原爆投下直後の広島で被爆者の救護活動をする。1961年から1985年まで東北大学医学部教授、1990年から1994年まで仙台大学の学長を務める。1995年勲二等瑞宝章受章。東北大学名誉教授。2007年逝去。